IBMが目指す新たな価値共創
IBMは、これまでのビジネスモデルから大きく転換し、パートナー企業との協業を強化することで、お客様への新たな価値提供を目指しています。デジタル化が急速に進む中、企業を取り巻く環境は大きく変化し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進や最新技術の活用、スピーディーな対応が求められています。しかし同時に、システムのサイロ化や複雑化、データの分散化、セキュリティ対策の必要性など、多くの課題にも直面しています。
このような状況を踏まえ、IBMはハイブリッドクラウドの活用を提唱しています。Red HatのOpenShiftを共通のプラットフォームとし、オープン化を推進することで、インフラに依存せずにアプリケーションを自在に動作させる”Write once, run anywhere”の実現を目指すのです。
パートナー企業との”共創”が鍵
IBMはこれまで、ハードウェアやソフトウェアの提供を主体としていましたが、新しいビジネスモデルでは”共創”を重視します。IBMが持つ高度な技術的ノウハウやソリューションを”秘伝のタレ”として提供し、パートナー企業がそれらを自社のソリューションに組み込んで、エンドユーザーに向けたサービスを展開していくのです。
つまり、IBMはコア技術の提供に特化し、パートナー企業がそれぞれの強みを生かしてユーザーに直接向き合うことになります。この新しいビジネススタイルを「パートナー・ファースト」と呼び、お互いの長所を最大限に活かすことで、より高い価値を生み出せるとIBMは考えています。
パートナー企業に対しては、マーケティングや共創の場の提供、技術支援の強化など、さまざまな支援策が用意されています。すでに伊藤忠テクノソリューションズ、イグアス、NTTデータ、NECなど有力企業とのパートナーシップが発表されており、今後さらに協業関係を広げていく考えです。
社会課題の解決に向けた取り組み
IBMのこの新しいビジネスモデルは、単なる販売戦略の転換にとどまらず、社会課題の解決を企図したものでもあります。例えばAIの公平性や倫理的課題への対応、環境問題への取り組みなど、テクノロジーの発展に伴い生じる新たな課題に、パートナー企業と協力しながら真摯に向き合おうとしているのです。
また、先端技術の研究開発にも力を入れており、半導体や量子コンピューティング、AIなどの分野で大規模な投資を行う計画です。これらの技術は、今後のITインフラを支える基盤となるものですから、社会の持続的発展に欠かせません。
さらにIBMは、DX人材の育成にも注力しています。最新技術を活用して社会課題に取り組む人材を、社内外で幅広く育成・確保することが、新ビジネスモデルの成功につながると考えられています。
まとめ
IBMは長年の歴史と実績に裏打ちされた高度な技術力を武器に、パートナー企業との”共創”を基軸とした新しいビジネスモデルを構築しようとしています。この取り組みを通じて、デジタル化が進展する社会において、お客様に対してより高い価値を提供できるようになると同時に、さまざまな社会課題の解決にも寄与できると考えられています。
IBMは今後、パートナー企業との連携をさらに深化させながら、ハイブリッドクラウドの推進や先端技術の研究開発、人材育成などに注力していく方針です。テクノロジーと人材の両面から、社会の発展に貢献し続けていくことがIBMの使命なのです。